事例から学ぶ!営業トークでお客様の【心を鷲掴み】にする4つの秘訣

「うわ!あの先輩、またお客様の心を鷲掴みにしてファンにしてる!」研ぎ澄まされた営業トークを効果的に使って、お客様の「心を鷲掴み」にする。 ここでは、「心を鷲掴み」にする営業トークの秘訣を伝授します!

結果を出しているデキる営業職と結果を出していないデキない営業職の大きな違い。

それは「営業トーク」に顕著に表れます。営業トークのキレが「顧客グリップ」の違いにつながり、デキる営業職とデキない営業職を分けるのです。

今回は、営業トークを「お客様の心を鷲掴みにする」という視点で整理し記事にしてみました。では、早速お客様の「心を鷲掴み」にする営業トークの秘訣を見ていきましょう!

営業トークの定義を確認する

その前に、そもそも「営業トークとは何か?」その定義を確認しましょう。定義を確認し、その要素を分解することで本質的な理解が深まります。(定義にこだわること。これは、このサイトのコンテンツの一つの軸になっています)

営業トークとは、「営業プロセス」の「特定のタイミング」でお客様に「特定の感情変化・行動」をとってもらうことを前提に組み立てられた効果的な話し方を意味します。

ポイントは、①「営業プロセス」②「特定のタイミング」③「特定の感情変化・行動」の3つです。

まずは、営業プロセスですが、正確には営業プロセスは分けることは出来ません。しかし、分けないと解りづらいため、あえてここでは分けて解説します。

営業プロセスはあえて分けると「信頼関係の構築⇒質問・情報提供⇒提案⇒クロージング」の4段階に分けることが可能です。

そして、それぞれのプロセスで「心を掴む」という結果を得るためには、お客様が以下のような「特定の感情変化・行動」を営業トークで促す必要があります。

  • 1)「信頼関係の構築」フェーズ:「警戒や緊張感が解けた!安全だ!」「この人なら信頼できそう!安心だ!」
  • 2)「質問・情報提供」フェーズ:質問「これが課題だ!」「そうなんです!」、情報提供「なるほど!」「この人はプロだ!凄い!」
  • 3)「提案」フェーズ:「この商品・サービスが欲しい!」
  • 4)「クロージング」フェーズ:「この商品・サービスを買います!契約します!」

しかし、その営業トークを使えば、常に「心を掴んだ」と言える「感情変化・行動」がとれるかというとそういう訳ではありません。

大切なのは「その営業トークを使うタイミング」です。タイミングがずれていれば、どれだけ磨かれたトークでも滑ります。「今!」「ここで刺す!」「ここでかます!」というタイミングの判断が非常に重要ですので、営業トークを使うタイミングを現場では測るようにしてください。

営業トークでお客様の心を鷲掴みにする4つの秘訣と事例

営業トークの定義とポイント理解したら、次は「研修を扱うソリューション営業のトーク事例」で具体的に学びましょう。

営業は現場での顧客との「ライブでのコミュニケーション」が最大価値発揮の場ですので、出来る限りライブ感のある具体的な事例から「秘訣」を学びとっていただければと思います。

なお、下記の事例と営業トークは、僕が実際に研修を販売する際に自分が使用している営業トークなので、同じ仕事をしている人には「即効性」がありますが、他の商品・サービスに転用するには、一段階抽象化して「エッセンス」を学び取って応用することが大切になります。

この営業トークは、自社の業界、商品・サービスなら「どう言い換えることが出来るのか?」と「具体⇒抽象⇒具体」の行き来を自分なりに行って、心を鷲掴みにする営業トークを考えてみてください。

1)「信頼関係の構築」フェーズで心を鷲掴みにするための営業トーク

「信頼関係の構築」フェーズで必要な営業トークは「アイスブレイク」「専門性の確立」の二つに分けると分かりやすいです。

アイスブレイクトークで「心理的安全性」を確立し、プロフェッショナルトークで「専門性」を確立するイメージになります。

アイスブレイク(ゴール:「警戒や緊張感が解けた!安全だ!」という感情変化・行動を取ってもらうこと)

アイスブレイクとは、相手との「緊張」「警戒」状態を解除することです。

ポイントは「お客様との共通点をつくること、発見すること」に尽きます。人類の歴史上、最も人を殺してきたのは人です。そのため、人は自分以外の人を「警戒」するようにプログラミングされています。

では、どうすれば警戒を解くことができるか?それは、最も安心できる存在である「自分」と「共通点がある仲間」であるという心理的安全性を確立することです。そのために、共通点をつくる、発見することが効果的です。

そのためには、共通点を自分からつくる話を自分からすることです。気づいた共通話題から入ってもいいですし、こちらから共通話題を提供しても構いません。

参考までに、僕が良く使っているアイスブレイクトークをご紹介しますので、覚えておくと役に立つかと思います。

初めて来た場所・建物であれば…「今いる場所・建物」が共通点なので、その共通話題を創る。例えば、「いや~、駅から近くて便利ですね!」「いや~、建物が本当に立派で羨ましいです!」など。

名刺交換時であれば…「名前と部署という言葉」を話題に取り上げて、共通点を創る。例えば、「●●さんの名字って珍しいですよね!どの地域に多いんですか?」「●●さんのお名前の漢字、僕と一緒ですね!」「▲▲課ってどのような仕事がメインなのですか?」など。

その他…とにかく外観、受付、応接室までとにかく「観察」して、ツッコミができそうなものを発見しておき、それを共通点にして「共通話題」を創る。例えば、「受付の後ろにある絵ってどういう意味なんですか?」「受付のところに展示してあった商品、今一番人気があるんですか?」「受付に飾ってある人形はマスコットキャラクターなんですか?」など。

なお、どのようなネタでアイスブレイクしても良いのですが、アイスブレイクの終わり方が、「ため息」で終わるようにならないようにすべきです。

「●●さん、相変わらずお忙しいそうですね~」「そうなんです。忙しくて、疲れがたまってます(ふぅ・・)」「・・・」

アイスブレイクの終了時点の理想は「笑顔で終わるようこと」です。出来るだけ、ポジティブな空気で終わる場づくりを意識しましょう。

「●●さん、相変わらずお忙しいそうですね~。それだけ、人気者ってことですね。モテモテですね(笑)」「あはは、本当にモテすぎて、疲れ切ってます」「それは嬉しい疲れですね(笑)ちなみに、どんなお仕事が最近メインなんですか?」

専門性の確立(ゴール:「この人なら信頼できそう!安心だ!」という感情変化・行動を取ってもらうこと)

次に、専門性の確立です。ここでは、あなたが「その道のプロフェッショナルである」ことの「根拠」と「事例」を伝えるプロフェッショナルトークを展開します。

その道のプロフェッショナルであることの根拠は、「顧客の課題解決のために提供できる商品・サービスの深い知識」と「顧客の様々な課題解決に役立つ能力の保有」を伝えます。

例えば、「顧客の課題解決のために提供できる商品・サービスの深い知識」を伝えるのであれば、以下のようなトークを展開します。

お客様「研修は沢山実施しているんですが、効果が出ないんですよね」
営業「研修は所詮『あるべき姿』を伝えるだけに過ぎません。例えば、コーチング研修で『傾聴が大切』と伝えても、その傾聴という行動を職場で実践しなければ、コーチングスキルは高まりません。ですので、研修だけではなく、研修が終わってからの職場実践の仕掛けも併せて考えることが必要です」

加えて、「顧客の様々な課題解決に役立つ能力の保有」を伝えるには、以下のようなトークを展開します。

お客様「研修って、どこの会社さんも同じなんですよね」
営業「研修テーマがどうしても一般的になるのは当然です。管理職に対するテーマが部下育成や職場活性化であるのはどの会社も一緒なので。ですので、その大切な一般的な研修テーマに「御社らしさ」を付け加えカスタマイズすることです。「御社らしさ」が研修に加わることで、受講者満足度が圧倒的にアップします。その結果、この研修を企画し人事部の評価もアップするはずです。私が研修を企画する際は、ヒアリングから御社らしさを加味したプログラムをご提供させていただきますので、安心ください。」

2)「質問・情報提供」フェーズで心を鷲掴みにするための営業トーク

商品やサービスの提案につなぐためには「質問」と「情報提供」を通じた、「課題と解決策の明確化」がポイントになります。

まず、質問で心を鷲掴みします。そのためには、「本質に迫る切れ味の鋭い問い」を伝えることがポイントです。「ドキッ!」「ハッ!」「考えたことない!」「そういう切り口で訊かれると・・」などの反応が取れる問いです。

例えば、研修という商品・サービスについてであれば「今まで沢山の研修を実施してきたと思うのですが、効果はありましたか?」「今まで●●さんが受講してきて一番記憶に残っている研修ってどのような研修ですか?」などです。

次に、情報提供でも心を鷲掴みにします。そのためには、大きく3つのトークがあります。

  • お客様の「なるほど!」「確かに!」「そうなんですよ!」を引き出す【専門性の確立につながる営業トーク】
  • お客様に「この人は解ってる!」と思わせる【本質・原理原則の理解を示す営業トーク】
  • お客様に「この人は違う!」と感じさせる【圧倒的差別化につながる営業トーク】

それぞれの事例を見て行きましょう。

【専門性の確立につながる営業トーク】とは、例えば以下のようなものです。

お客様「選抜育成研修を2年で考えているんですよ」
営業「とてつもなく早い外部環境の変化の中でそもそも5ヶ年計画自体が中期ではなく長期計画にあたると言われています。3ヶ年計画が中期計画の位置づけです。この中期経営計画の時間軸において2年の選抜育成研修は、長いと思います」

【本質・原理原則の理解を示す営業トーク】とは、例えば以下のようなものです。

お客様「研修はどうしてもやって終わりになってしまうんですよね」
営業「研修での学びは「あるべき姿」に過ぎません。あるべき姿は宙浮いておりそれだけでは実現しない。大切なのは唯一地に足がついた実践行動とつなげること。実践行動をあるべき姿につなげることが出来る人は少ない。だからこそ、あるべき姿と実践行動をつなげる仕組みづくりが大切なのです」

【圧倒的差別化につながる営業トーク】とは、例えば以下のようなものです。

お客様「組織開発プログラムを提案してもらえませんか?」
コンサルティング営業「私たちは組織開発のプログラムを設計するにあたり、お客様にも一緒に『One Team』で考えて欲しいと考えています。本当に組織開発するには外部の我々で考えても限界があります。中と外の知恵を結集した組織開発ソリューションこそが、組織開発の成功確率を高めます。私がいつもお伝えする『One Team』は暑苦しい私のような人間のこだわりではなく、実効的な施策にするために必然的に出てくる要件のようなものです」

3)「提案」フェーズで心を鷲掴みにするための営業トーク

提案のゴールは「この商品・サービスが欲しい!」と思ってもらうことです。そのためには、質問と情報提供を通じて、「明確にした課題の解決後の姿」を言葉とイメージで具体的にお客様に持たせるさせることが必要です。

例えば、研修という商品・サービスについてであれば以下のようなトークを展開します。

「すでにお伝えした通り、研修は実施するだけでは課題解決にはつながりません。研修で達成できるゴールは、「知識の修得」と「職場実践のための予行演習」が出来ている状態です。そのため弊社の研修では、知識の習得が最もしやすいインプット最小アウトプット最小のプログラムをご提供します。使える知識を理解するためには、一方的に講義を聴いているだけでは習得できません。また多くの知識を詰め込んでもほとんど忘れてしまいます。そこで、最も大切な最小限のコア知識を確実に習得するために、学習定着率の高いグループワークをふんだんに組み込んだプログラムにしてあります。次に、「職場実践のための予行演習」ですが、受講者の実際の職場に近い状況を想定したロールプレイング演習を研修内で実施し、どのような行動を取るかを書かせて行動させます。そうすることによって、研修終了後の職場実践がしやすい状態をつくります。」

提案は「商品やサービスの売り込み」ではななく、「お客様が困っている課題や問題を解決するための手段として解決策をプレゼントする」スタンスで行います。

なお、提案の際には、論理で説得するのではなく、感情で納得してもらえるように論理面だけでなく感情面にも配慮したトークを展開すると良いです。

例えば、「●●さんも仕事としてこの研修を企画する以上は失敗したくありませんよね?この研修プログラムはは大手企業十数社で人事部から高評価を得ていますので、初実施の御社で失敗する確率は低いはずです。」といった具合ですね。

4)クロージング⇒「この商品・サービスを買います!契約します!」

クロージングのゴールは、「この商品・サービスを買います!契約します!」ですが、クロージングにトークは必要ありません。

3)の提案を通じてお客様が「この商品・サービスが欲しい!」と思える状態になっていれば、「以上が私からのご提案です。いかがなさいますか?(沈黙)」でお客様が「自分で買います!契約します!」と言うまで黙ります。

これがクロージングの王道「沈黙クロージング」と呼ばれるものです。この沈黙クロージングをするには、提案が「今の自分が考えうる最高のプレゼント」になっている前提です。提案に不足があれば、沈黙する前に不足点を補足提案するとよいでしょう。

まとめ

以上、営業トークでお客様の「心を鷲掴み」にするための4つの秘訣を僕の事例使いながらご紹介してきました。

まず、営業トークとは「営業プロセス」の「特定のタイミング」でお客様に「特定の感情変化・行動」をとってもらうことを前提に組み立てられた効果的な話し方のことですね。

そして、「営業プロセス」の4フェーズに応じた営業トークを「適切なタイミング」で展開することで、「心を掴んだ」というお客様の「特定の感情変化・反応」をとることが出来れば心を掴むことが可能です。

すなわち、信頼関係の構築フェーズでは「アイスブレイク」と「専門性の確立」。質問・情報提供フェーズでは、「本質に迫る切れ味の鋭い問い」「専門性の高さ、本質・原理原則の理解、圧倒的差別化を行う情報の提供」。提案フェーズでは、「課題の解決イメージを言葉とイメージで具体的にお客様に持たせるさせること」。最後の、クロージングフェーズでは、提案までで心を掴んだ前提で「いかがなさいますか?(沈黙)」です。